呼吸器のようなもの

滋賀生まれ射手座。日々感じたことの備忘録。

シマ4日目

やっぱり朝はぐっすり眠ってしまい、寝坊。ななちゃんも寝坊していて安心した。やっぱりお母さんの魔法がかかっている気がする。ふたりでのんびり朝ごはんを食べてから、マングローブのある住用まで、車で向かってこうたろうくんと落ち合う。

 

こうたろうくんはマングローブシーカヤックのインストラクターをしていたことがあって、色々と気を利かせて用意してくれていた。マングローブは海の満ち引きがあるので、時間を見ていかないとカヤックを引っ張って泥沼を歩いて帰るハメになるらしい。インストラクター1人に対して初心者が2人。手厚く指導してもらった。

初めてのマングローブは最高の天気で、とにかく風が心地よかった。奄美の湿った空気を含んだ風が、体を通って抜けていく。細い道も、海みたいに広い道もとりあえず清々しかった。河の上は涼しかった。途中流れが急なところは、ななちゃんがちょっとマヌケな漕ぎ方で遅れて追いつくかわいかった。

ななちゃんと「上がったらトイレ行こな」と漕ぎながら連れションの約束をしていたら、陸に着いてしまって、シーカヤックはおしまい。ほんとに女って平和だなと思う。気の合う人さえいれば、別になにもしなくても楽しいから。備品を返却して、道向かいのガソリンスタンドのトイレにさっさと行った。

 

お昼は近くのお蕎麦屋さんで済ませたら、雨が降り出すなか宇検村に向かった。お目当のカフェがしまっていたので、あたしが行きたかったアランガチの滝へ。奄美は山深くて、海も山も川もたっぷり。湿度が高いためどこでも苔むしている。村の商店に寄ると、髪を緑色に染めたイカしたおばぁがいてワクワクした。あたしは黒糖のケーキ、ななちゃんはたんかんを買った。こうたろうくんとは今日はここで別れることに。明日朝また宿に迎えに来てくれる優男。ハンバートハンバートを流しながら、ひたすら海岸を目がけて走った。

 

お目当のタエン浜についたので、持ってきていた水色のシーツを敷いてたんかんと黒糖ケーキを食べる。人のいない海にいてもたってもいられなくなり、ついに念願のすっぽんぽん海水浴。本当は昨日の加計呂麻島でもしたかったけど、水が冷たすぎて断念していた。ななちゃんはそんなあたしのことを笑いながら見守ってくれていた。泳いでいると、シマのおじさんが見えたので急いで浜に上がって服を着る。そしたらおじさんがこちらへやって来て、堤防まで海の案内をしてくれた。おじさんは毎日海岸のゴミ拾いをしてること、年々減っていたサンゴを復活させたこと、奄美の波の怖さや魚のことなど色々教えてくれた。しかも自分で海の家まで建てたらしく、招待してもらった。

 

ビーチから歩いて10秒、おじさんが1人で建てた小さな海の家がある。きれいにペンキも塗られていて、秘密基地みたいなかわいいおうち。本棚にホオポノポノの本があり、あたしがそれを知っていることをすごく喜んでくれた。おじさんがコーヒーを淹れてくれて、彼の生い立ちを聞いた。若い頃にシマを出てからは、ずっと東京で江戸前寿司の板前さんをしていたそう。たくさん深い話を聞かせてくれて、おじさんはまるで映画に出てくる人みたいだった。

 

「いい波もわるい波もない。いつだって海は海だし、どう捉えるかは自分。」

 

そんなことをおじさんは言っていた。また、会いたいと思う人が増えた。

 

おじさんと別れるころには日は沈みかけていて、最後まで車のあたしたちを見送ってくれた。また雨が降り出した夜道の中レンタカーを返却して、コンビニに寄って「楽しかったなぁ」と黄昏ながら宿に帰った。ななちゃんは飛び込みの宿泊で1泊だけだったけれど、宿が気に入りもう1泊することに。あたしたちが一緒に遊んでいたことを知ったお母さんが、すごく嬉しそうだった。ななちゃんはお母さんに「あんたは幸せになるっ」と太鼓判を押されていた。あたしもそう思う。

 

最後の夜だったから、2人で晩酌をした。昨日出会ったところなのにね。「旅は道連れ、世は情け」とはこのこと。ひとりで旅に出ると大体友達ができるけど、帰りの飛行機まで一緒の人は初めてだった。 

 

翌朝こうたろうくんが迎えに来てくれるのだけれど、あたしはパッキングをせずにそのまま寝た。ななちゃんはきれいに片付けてから寝た。

 

 

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おじさんの海の家